【高松宮記念特集】 マイラーたちの適性・戦力評価

 

高松宮記念特集の1本目です。

 

 

ここではマイルGⅠ馬4頭の適性や能力序列について検証していきます。

 

 

距離体系が整備された現代競馬において、マイルとスプリントの2階級で統一王者になった馬に安田記念を制した歴代屈指のスプリンターのロードカナロアがいます。

 

 

ただ、これはスプリンターがマイルを制圧した形になっていてカナロアのスピード能力が安田記念の舞台で通用したからです。

 

 

安田記念と言うレースはスピード能力だけで必ずしもどうにかなるGⅠレースではありませんので、ペースや相手関係に恵まれた可能性は否定できません。

 

 

今回の構図はマイルGⅠ馬がスプリントGⅠのスピード競馬に対応出来るかどうかと言う点で、カナロアの時とは状況が同一ではありません。

 

 

境勝太郎先生は生前にスピードは生来的なものなので鍛えてどうにかなるようなものではないといつも話しておられました。

 

 

調教や訓練で上限スピードまで持っていくことは出来るのでしょうが、それ以上のスピードを鍛えて作り出せるものではないのでしょう。

 

 

今回の適性を見る上で該当各馬にスプリントGⅠで通用するだけの生来的なスピードがあるかどうかの指標を探しながら検証していく必要があります。

 

 

また、予想ページで申し上がているように最速上がりを使った馬でも馬券になれないことが多いことが確認できています。

 

 

脚質的に後方から末脚の威力だけで差してくるには不適なGⅠレースだと言えます。これも大きな手掛かりとなり、脚質による篩い分けも可能なのではないかと思います。

 

 

よって、スピード能力の有無と脚質的問題の2点を基にしてマイルGⅠ馬4頭の適性を探っていきたいと思います。

 

 

戦力面の検証については、過去の情報や臨戦過程などを踏まえていつものように各馬に短評を入れながら探っていくようにしたいと思います。

 

 

適性分析

 

 

初距離1200mに対応できるかどうかはやはりレースの流れに乗れるかどうかにかかっていると言っていいでしょう。

 

 

ひどい不良馬場で行われるようなら違うかもしれませんけど、各馬にとってテンの速さがそれまでのレースより速くなるのは確実です。

 

 

中京競馬場の路盤が改修されて以降、高松宮記念が良馬場で行われた年は5年あります。この5年におけるテン3Fの平均タイムは33.6秒になっています。

 

 

少なく見積もっても33秒台後半ぐらいの速さで流れるものと仮定すると、そういう流れの経験のアルナシが1つのヒントになるのではないでしょうか?

 

 

また、1400m以上のレースにおいて33秒台の流れを経験していたとしても、そのレースで惨敗していたり、流れに乗り切れず後方で力尽きているような馬ではダメでしょう。

 

 

なので、テン3Fの33秒台の通過経験があり、そのレースで流れに乗れていたかどうかという条件でまずはフィルターをかけてみます。

 

 

◆グランアレグリア

 

・19年NHKマイルC(1600m)5着時

 

3F通過33.9秒。スタートは出負けしていたがすぐさま挽回して向正面で3・4番手追走しているので、対応できているとみて○。

 

・19年阪神C(1400m)優勝時

 

3F通過33.9秒。普通にゲートを出て、すぐさまポジションを取れている。他が速いので番手は真ん中ぐらいだがレースの流れには完全に乗れているので合格。○。

 

 

ステルヴィオ

 

3F通過33秒台の経験はゼロ。前走阪急杯(1400m)がキャリアにおける最も短い距離レース。

 

 

その阪急杯の通過は34.1秒で高松平均より遅いのだが、それですら後方2番手を促しながらの追走。5着なのでそれなりの結果だが、流れに乗れていたとは言い難い。

 

 

◆ノームコア

 

 

・19年ヴィクトリアM(1600m)優勝時

 

3F通過33.7。二の脚でポジションを取りに行けているので対応できるスピードセンスを感じられて○。

 

秋の京成杯AHで更新されてしまったがヴィクトリアMは当時の日本レコード。コアはこれを7番手で楽々に追走していたのでスピード対応に全く問題はなさそう。

 

 

◆モズアスコット

 

・17年阪神C(1400m)4着時

 

3F通過33.6。この4頭の中では最も早い通過ラップを経験したという点では○。発馬も良く、ポジションをしっかりとれている。差し損ねて負けたが速い流れには対応していたものとしてギリギリ○評価。

 

 

・18年マイラーズC(1600m)2着時

 

3F通過33.9。発馬後に一時はハナを奪えていた程で、2・3番手を追走していた。スピードの対応力には問題はなさそうなので○。

 

 

と、スピード競馬の経験が全く感じられないステルヴィオ以外は過去のレース経験から対応可能な根拠を一応は持っています。

 

 

ですが、昨年も1200m戦初経験だったロジクライが33秒台通過の経験がありながら、レースの流れには乗り損ねています。やはり絶対的な指標として採用は出来ません。

 

 

逆に、33秒台の通過経験がなかったオレハマッテルゼやミッキーアイルは初経験でも高松宮記念で勝ち負けしています。

 

 

この点を重視すると、33秒台の通過経験はあるに越したことがないというに過ぎないのだろうと思われます。

 

 

結局は経験のアルナシよりも、スプリントGⅠの速さに対応しながらレースで上手く体回れていたかどうかにかかってくるのではないでしょうか?

 

 

そうなると今回の4頭で積極的に評価するとしたら、33秒台の速い流れに乗り、かつレースをしっかりと勝ち気っていた馬に限った方が良いのではと思います。 

 

 

これに該当したのはグランアレグリア・ノームコアの2頭。これら上位としておきたいと思います。

 

 

それにしてもどちらも牝馬と言うのが面白い帰着だったなぁと思います。

 

 

一般論として、牡牝では牝馬の方がスピード能力があると言われていますから、この査定は必然的だったかもしれません。

 

 

また、この2頭には他の2頭にない強みもあります。2頭が勝ち切ったレースの6F通過ラップが

 

 

アレグリアの19年阪神Cで1.07.9

 

コアのヴィクトリアMで1.07.3

 

 

と、スプリント戦の入線タイムなみの時計で通過していました。

 

 

通過ラップ上の時計なので、実際の通過タイムはコンマ何秒かは余計にかかっているのでしょうが、1:07秒台決着への対応力も一応は示していることにもなります。

 

 

ちなみにコアの6F通過タイムは、昨年の高松宮記念の勝ちタイムと全く同じです。

 

 

以上のことから、まとめてしてはこの2頭に関しては初のスプリント戦でも相応の対応力が備わっているとしていいだろうとしておきます。

 

 

 

グランアレグリア

 

 

強い時は強いのですが弱い時はモロさが悪目立ちするタイプです。そのためか落差の大きい競争成績のように思います。

 

 

ただ、今回の臨戦過程はいいですね。

 

 

負けた2戦は朝日杯FSが2ケ月ぶり、NHKマイルCが1ケ月ぶり。この馬もアーモンドアイ・サートゥルナーリアのように詰めて使うと反動が出てしまうタイプなのでしょう。

 

 

勝っている重賞3勝は全て4ケ月ぶりの競馬だったので、3ケ月ぶりとなる今回は微妙な感じも致しますが、負けた2戦の時よりはずっといい間隔だと思います。

 

 

今回は力を発揮しやすい状況だと考えていいでしょう。

 

 

本質的な距離の適性についてはやってみないとわからないところはあるのですが、この馬はスプリンターズSにも登録していました。

 

 

関係者の中でもやれる算段があるのだろうと考えざるを得ません。当時は私もスプリンターズSは軽視の方向で予想の準備をしていました。

 

 

でも、高松宮記念は距離に融通性がある方が通用しやすいレースでもあります。スプリンターズSほど悪いカードではないのではないでしょうか?

 

 

気性が勝っているところがありますから距離短縮がいい方向に出る可能性も感じてしまうところです。

 

 

やってやれないことは決してないと考えていますので、今回はそれなりの対応をするつもりでいます。

 

 

ただ、「ワンペースの馬なので1400mが一番良い」と言う事を阪神C時に話しています。だとすると1200mがそれ以上に強いかどうかまではさすがに測りかねます。

 

 

この点に関しては、本当にやってみないとどうにもこうにも・・・

 

 

また、当日の天気も気になる材料になってしまうことでしょう。

 

 

これまで良馬場の経験しかありませし、スピードを活かして行った方が良いタイプなのは間違いがありません。

 

 

時計がかかる環境がプラスかどうかは懐疑的です。

 

 

実際、朝日杯FSは雨降り馬場の良馬場、NHKマイルCは雨降り後の良馬場。雨の気配がある時に限って負けているのも事実なので・・・

 

 

現時点ではマイナス材料とするしかなく、良馬場の方が安心して評価出来る馬であるのは確かでしょう。

 

 

今回は十分対応可能な条件で、優勝してしまう事もあるだろうとは思っています。

 

 

そこを認めながらも積極的な扱いが出来るまでに評価を上げきれない感じはどうしても残ってしまうのではないでしょうか?

 

 

 

ステルヴィオ

 

 

まず、阪急杯安田記念以来の久しぶりとなってしまったのは昨秋に目傷を負ってしまったからです。

 

 

詳しくは省きますが、これが珍しい症例であったのでじっくり時間をかける必要があったのだそうです。

 

 

その為に昨秋は全休とし、調教が出来るようになったのも12月に入ろうかと言う時期まで長引いていたのだそうです。

 

 

また、生来的にノドに不安を抱える馬なのですが、特に治療などはしていません。依然として不安持ちと言う状況です。

 

 

満身創痍とまで言うことはないのですが、あまり順調な感じも致しません。馬が唸るような絶好のデキまで戻り切っている可能性はまだ低いのではないかと思います。

 

 

なお、そのノドの不安のせいなのかもしれませんが、今後はもうマイル以上の距離には使わない方針が決まっているそうです。

 

 

なので、1400m戦の阪急杯での復帰となっています。

 

 

ノドの事を考慮すれば、前走からさらに距離が短縮されるわけですから、1200m戦と言うのは今のこの馬には悪くないのかもしれません。

 

 

その前走も前が直線で前が詰まりながら5着と掲示板をキープするあたりは地力の高さなので、やはり能力的には上の馬なのでしょう。

 

 

ハマればここでも可能性がないとまでは言えません。

 

 

ですが、その阪急杯は1400m戦としては決して速い流れではなかったものなので、あのペースで追走一杯になっていたのは気になります。

 

 

それが適性不足によるものなのか、久しぶりの1戦のせいなのかで評価が大きく変わって来るのでしっかりと見極めたいところです。

 

 

もし前者なら今度も追走一杯になるでしょう。追込み馬には厳しいレースなのでさすがに厳しそうですが。

 

 

半面、一叩きしたことで行きっぷりに改善の余地が生まれるなら見直しも可能になって来ます。

 

 

ここをどう判断するかでこの馬の評価が分かれるところではないかと思っています。

 

 

とは言え、これだけの馬なので厩舎側も前向きなコメントしか出さないでしょうから、素人がそこを判断するのは難しいですね

 

 

困ったものです。

 

 

使った上積み自体はあるでしょうし、最内枠を引いていますので前走のように後方追走からインをついてくればもしかしたらと考えられなくもないのですが・・・

 

 

適性分析からもこの条件で積極的に評価出来るような材料がないだけに、自力に期待としか言いようがありません。

 

 

 

ノームコア

 

 

中京は愛知杯で強い内容の2着があるからこの馬に合っているかもしれません。って、言われたら皆さんはどう思いますか?

 

 

ピントがズレているので言っている私自身がまったくしっくりしていません。

 

 

そもそも中距離タイプの馬だと思っているので、さらに距離を短縮するなど全く考えていませんでした。この馬の出走自体に非常に驚いています。

 

 

スピードもパワーもある馬なので、総合的にはスピード面に秀で過ぎているアーモンドアイよりも強いのではないかとちょっと思っています。

 

 

ひょっとしたらリスグラシューの様な馬にもなれるのではないかと思っていただけに、今回のエントリーは残念な気持ちにさせられました。

 

 

出走の経緯はGⅠ馬なので斤量面を考慮して定量戦で走れるという条件でこのレースを選んだのだそうです。

 

 

その程度の意欲だと、やはりここがメイチの勝負と言うのは考えにくいところです。本線は昨年勝ったヴィクトリアMなのでしょう。

 

 

それに向けてと言うのが本当のところなのではないでしょうか?

 

 

しかしながら、スピードの対応力があることは上記の分析から間違いなさそうなので上手く追走出来れば可能性はゼロでなないでしょう。

 

 

また、当日に馬場が渋るようならこの馬の出番はよりやってくるのではないかと思います。降雨量次第ですが、中京の芝は馬場が悪化するのが早いコースです。

 

 

例年以上にタフコンディションにでもなれば、他馬のスピードが削がれる分だけこの馬にチャンスはやってくるでしょう。

 

 

重馬場適性には厩舎は懐疑的で良馬場必須と言う感じのようです。昨秋の富士S稍重)でもその点に関しては泣きっぱなしでした。

 

 

ですが、外からぐいぐいと伸びて全て差し切ってしまったように重馬場適性はむしろ高いのではと思われます。

 

 

1つ下のクロノジェネシスも重馬場は得意なクチなので血統的にも悪くは無いはずです。

 

 

繰り返しになりますが、スピードもパワーもある馬なのでそういうコンディションになればこの馬の強さがより発揮されやすいと思います。

 

 

この点はグランアレグリアにもない強みですので、案外やれてしまうかもしれません。

 

 

良馬場なら大外枠は致命的なのですが、ひどい馬場になればインサイドから馬場は死んで行きます。

 

 

近年の傾向的から言って滅多に見れないとは思いますが、馬場次第で大外一気も夢ではないかもしれません。

 

 

 

モズアスコット

 

 

ご存じのことと思いますが現在の社会情勢を考慮して予定していた豪国遠征を取りやめることにして、急遽ここに参戦することになりました。

 

 

どう考えても狙って取りに来たという参戦ではありません。

 

 

そもそもスプリンター的素養が強かったなら最初からここを目標にしていたわけですし、わざわざ砂戦に切り替える必要もなかったのではないかと思います。

 

 

普通に考えればこの参戦はお門違いもいいところです。思い付きでこういうことはやめて頂きたいものです。

 

 

ですが・・・

 

 

この馬を取り巻く状況は割と良い事づくめであったりします。

 

 

まず状態面が強調出来る材料です。

 

 

今年はここまで根岸SフェブラリーSと歩んできています。ただ、根岸S時は休み明けで仕上げきれず使っていて、本線での上積み待ちの状態で出走していました。

 

 

しかし、フェブラリーSの段階になっても馬の調子はなかなか上向いて来なかったのだそうです。期待した程の上積みはありませんでした。

 

 

厩舎筋も「自信を持って送り出せるような状態ではない」と泣いていたほどです。

 

 

連闘で安田記念を勝ったような馬なので元来が叩きながらと言うタイプです。加齢のせいなのかもですが、今年の2戦は調子を上げ切れない状態が続いていたのです。

 

 

そういう状況なので3戦目の今回ぐらいがちょうどよい可能性があり、メイチ勝負のGⅠ後でありながらまだまだ状態を上げてくる可能性があります。

 

 

おそらく前走以上の状態で今回は出走してくるのだろうと思われます。

 

 

次に距離適性ですが、先に安田記念を勝ってしまったせいでともすればマイラーと言うイメージが強いかもしれません。

 

 

が、この馬が1番良いのは1400m戦です。マイル戦では散々取りこぼしているように1Fの距離延長はこの馬にとって良い選択とは限らないのです。

 

 

だとすれば、むしろ1Fの延長よりも1Fの短縮の方が向いている可能性は否定できません。

 

 

ひょっとしたらマイル戦よりもスプリント戦の方が力を発揮するのではないかとちょっと思っております。

 

 

さらに、当日の雨予報が追い風となり、馬場状況がこの馬の味方になることもあるでしょう。

 

 

JRAとしてみれば高松前の1週間をわざわざ空けたたのですから、高速馬場を仕込むつもりでいたのでしょう。

 

 

ですがあいにくの天気でその目論みが大きく狂って来そうです。

 

 

時計が高速化せずにタフな馬場になるのなら、それこそダートでやってきた意味がここで活きてきます。

 

 

時計勝負がダメと言う馬でもないのですが、本職のスピード馬を相手にするのですから高速決着を回避できるなら都合の良いことでありましょう。

 

 

ダートで培った(?)馬力がモノを言ってくるかもしれません。

 

 

以上、体調・距離・馬場と全てがこの馬のキャラにふさわしい状況に好転しているのではないかと思えます。

 

 

芝・砂の統一は済ませましたので、次はマイル・スプリントの両部門の制圧となってくればイカしたキャリアになって面白いですね。

 

 

ワンチャンあるかもしれません。

 

 

なお、状態イマイチで2連勝したことについて簡単に解説しておけば、単にハマっただけと言う評価で十分でしょう。

 

 

根岸Sは同厩のドリームキラリが先導役を果たしてくれました。フェブラリーSはワイドファラオ・アルクトスとの競り合いが長引いたことでハイペースが演出されました。

 

 

冷静に2戦を振り返れば、展開に乗じて勝てたと言うのが大きく、距離の長いマイルを地力で勝ちに行っていない様がいかにもこの馬らしいところです。

 

 

その結果、またしてもマイラーイメージが増大されることになってくるでしょう。

 

 

そのイメージが先行してくれればオッズ的にちょうどよい評価になり、穴馬的役割を果たしてくれるのではないでしょうか?